2017年、人気アーティストとのコラボなどで一気に知名度を上げた女性ラッパー・DAOKOが2017年12月20日にリリースした2nd ALBUM「THANK YOU BLUE」のレビュー。
期待通りの素晴らしい作品でDAOKO入門盤にふさわしい内容なのだが、若干の不満も感じたアルバムだった。
DAOKO 2nd ALBUM「THANK YOU BLUE」 レビュー
- 打上花火
- ステップアップLOVE
- Juicy
- さみしいかみさま
- ShibuyaK
- BANG!
- ダイスキ with TeddyLoid
- 拝啓グッバイさようなら
- 同じ夜
- GRY
- もしも僕らがGAMEの主役で
- ゆめみてたのあたし
- Cinderella step
- ワンルーム・シーサイド・ステップ
全14曲入りのフルアルバム。メジャー1stシングル『ShibuyaK / さみしいかみさま』から最新曲で若手バンドD.A.N.とコラボした『同じ夜』までYouTubeで公開されている全て音源が収録されている。
メジャーデビューしてからこれまでのDAOKOの活動の記録をなぞることができる、ベストアルバムと言っても過言ではない豪華楽曲が収録されたアルバムだ。
例えば2017年に大ヒットした米津玄師とのコラボ曲『打上花火』など最近DAOKOを知って曲を聞いてみたい人や、これまでリリースされているシングルCDを買っていないという人は今回のアルバムは絶対に買うべきだろう。とてもお買い得だ。
逆に、これまでリリースされているDAOKOのCDを買っているという人は14曲中9曲がシングル曲や配信曲なので新曲が少なく、物足りなさを感じるかもしれない。
アルバムの出来としては、シングル曲が基本的にはリリース順に収録されているため、DAOKOがデビューしてからこれまでに歩んできた軌跡や彼女のヴォーカリストとしての成長、幅の広さをかんんじることができるのが素晴らしかったと思う。
不満点としてはコラボ曲『打上花火』『ステップアップLOVE』を1曲目、2曲目に持ってきたこと。
やはりコラボ曲なのでDAOKOの曲というよりはコラボした米津玄師、岡村靖幸の曲だと思うのでそれを1曲目、2曲目にするのはどうなのかと思う。話題になった曲だが、この2曲に関してはボーナストラック的な位置付けで 13曲目と14曲目に収録するか、DAOKOの活動記録として聞かせるなら少なくとも『拝啓グッバイさようなら』以降におくべきだったのではないだろうか。
曲自体は素晴らしいのだが、オリジナルアルバムとしてみた場合にはこの2曲が完全に浮いてしまっているし、1曲目、2曲目にするのはやはり違うと思う。
3曲目『Juicy』から14曲目『ワンルーム・シーサイド・ステップ』までの流れは素晴らしかった。D.A.N.とコラボした『同じ夜』はD.A.N.とDAOKOの音楽性が近いこともあってアルバムの中でも『打上花火』『ステップアップLOVE』ほどの違和感はなかった。
DAOKO 2nd ALBUM「THANK YOU BLUE」をベストアルバム的位置付けのアルバムとしてみるなら全てのシングル・配信曲などが収録されているので100点満点のアルバムだが、オリジナルアルバムとしてみるなら収録曲順に少し不満のあるアルバムだった。
楽曲はやはり素晴らしい曲が多いのでとにかくDAOKOが気になっているなら手にとって損のないアルバムだと思う。
各曲についての感想やYouTubeなどもまとめておくのでぜひ視聴してDAOKOにハマってほしい。
1.打上花火
米津玄師とのコラボ曲でアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』主題歌として起用されていた。
米津玄師のアルバム「BOOTLEG」には米津だけが歌唱している『打上花火』が収録されていたのでDAOKOのアルバムではどうなるのか気になっていたが、こちらYouTubeの動画と同じで米津玄師と歌っている曲になっている。
楽曲自体は今更何かいうことはないくらい素晴らしい。情景の浮かぶメロディーと歌詞、DAOKOと米津の見事なハーモニーはとても聞いていて心地いい。
ただ、先ほども書いたが、アルバムの1曲目を飾る曲ではないと思う。バラードだし、やっぱり14曲目、アルバムの締めで聞きたかった。
2018年1月6日時点でYouTubeの再生回数が9,500万回を突破して間も無く再生1億回を迎えそうだ。すごいね。
2.ステップアップLOVE
岡村靖幸とコラボした曲でTVアニメ『血界戦線 & BEYOND』のエンディングテーマとして起用されていた。
独特なリズムの岡村靖幸とDAOKOのポップ感が絶妙にマッチしている。歌詞も大人の男性(岡村)と若い女性(DAOKO)の曲という感じでとても幸せなコラボだったのだろうと思う。
ただ、楽曲自体は素晴らしいのだが岡村靖幸色が強すぎてアルバムトータルで見るとやっぱり浮いて感じる。勿体無い。
3.Juicy
Juicy
DAOKO
2017/12/20 ¥250
実質アルバムの1曲目だと思って聞いているし、実際に1曲目にふさわしいと思う曲。
ポップでキュートなDAOKOの歌声を聞くことができる。サビのメロディーが頭から離れない。アルバム曲で1番よかったと思う。
4.さみしいかみさま
1stシングル収録曲。浮遊感のあるメロディー、デジタルと現実の境目にいるようなフワッとしたメロディーとEDMのような電子音のビートが見事にマッチしている。
DAOKOの歌声も細くて若いというか幼さを感じる。
5.ShibuyaK
1stシングル収録曲。個人的にはDAOKOの曲の中で1番好きな曲。
『ShibuyaK』の”K”は交差点の頭文字。曲を聴くと渋谷交差点という多くの人が行き交う場所に佇む孤独な女子高生が想起される。リリース当時はDAOKO自身が女子高生だったということもあって歌詞の説得力が凄まじい。10代でこの歌詞の内容をここまで歌えるのはすごいと思った。
メロディーは90年代のポップソングを踏襲しつつ、電子音をより前に押し出すことで2010年代の楽曲に仕上げていると感じた。
名曲だと思うので、これだけでも聞いてほしい。
6.BANG!
トリプルAサイドシングルとしてリリースされた2nd Single「もしも僕らがGAMEの主役で/ ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」のうちの1曲。
ポップでキュートなサビは聞いていてドキドキしてくる。YouTubeで初めて視聴したときに見事に撃ち抜かれたことを思い出して懐かしくなった。
7.ダイスキ with TeddyLoid
2nd Single収録曲。学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)2016年度TVCMソングに起用されていた。アニメを見ているとこの曲が高確率で流れてきて気になって調べたのがDAOKOを聞くきっかけだった。
同じくCMソングとして起用されていた『もしも僕らがGAMEの主役で』と一つ前の曲『BANG!』を聞いて速攻ハマた。そして『ShibuyaK』で完全にやられた。懐かしい。
『ダイスキ with TeddyLoid』は電子音を大胆に取り入れたデジタルな曲。DAOKOがボーカロイドのような位置付けで歌っているのが他の曲と違い面白い。
DAOKOというアーティストのキーワードの1つに「現実とデジタルの境目」というものがあると思う。この曲はまさにこのキーワードを表したような曲だと思う。
8.拝啓グッバイさようなら
2017年4月15日にデジタルリリースされた曲。『ShibuyaK』の頃に比べると歌声がグッと色っぽくなり艶が出ていて大人のDAOKOを感じることができる。
歌詞のメッセージ性も素晴らしい。曲調はちょっと暗く怪しげだが歌詞の内容は前を向ける内容だと思う。その相反する感じがまたいいのだと思う。
9.同じ夜
若手バンドD.A.N.とのコラボ曲。『拝啓グッバイさようなら』よりもさらに大人のDAOKOを聞くことができる。
暗く、陰鬱としたメロディーと救いようのない歌詞で苦手な人は聞きにくい曲だと思う。個人的にはこのD.A.N.独特の陰鬱なメロディーにDAOKOの艶のあるボーカルがマッチしていていいコラボだと思った。
10.GRY
GRY
DAOKO
2017/12/20 ¥250
『同じ夜』から続くような重厚なメロディーとポエトリーリーディングが印象的な曲。
歌詞の内容もグサッと刺さるようなフレーズを軽やかに歌っている。
11.もしも僕らがGAMEの主役で
2nd Single収録曲。CygamesのTVCMソングとして起用されていた。これもテレビを見ていると結構流れてきていたCMでタイトルにもなっている『もしも僕らがGAMEの主役で』というフレーズがとても印象に残っています。
『もしも僕らがGAMEの主役で』は印象的なサビもいいですが、ラップ部分がカッコよくて好きです。
12.ゆめみてたのあたし
ゆめみてたのあたし
DAOKO
2015/10/21 ¥250
呟くようにウィスパーボイスで歌い上げるのが印象的。夢見心地になるようなふんわりした曲。
この曲もポエトリーリーディングを取り入れている。
13.Cinderella step
Cinderella step
DAOKO
2017/08/16 ¥250
米津玄師とのコラボシングル『打上花火』の通常盤に収録。『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』エンディングテーマとして起用されていた。
『Cinderella step』はサカナクションの江島啓一が編曲に参加している。サビのリズムとか音の作りの感じにどことなくサカナクションを感じることができるだろう。
エレクトロニカロックのような曲なので個人的には好きな曲のど真ん中だった。
14.ワンルーム・シーサイド・ステップ
ワンルーム・シーサイド・ステップ
DAOKO
2017/12/20 ¥250
同名の小説をリリースしており、そのときのWebCMでちょっと流れていたみたい。本出してたの知らなかったわ・・・
独特の浮遊感とリズム感がある曲でまた新しいDAOKOの一面を見ることができる。
調べて見たら『ワンルーム・シーサイド・ステップ』の作曲・編曲はTempalayという今中毒者が増えているバンドが参加していました。
Tempalay『新世代』 Music Video
『新世代』 しか聞いたことがないけど、確かにこのバンドの曲って独特の浮遊感とリズム感でした。『ワンルーム・シーサイド・ステップ』も同じような感じですね。Tempalayこれからもっとくるかもね。この浮遊感とリズム感は確かにクセになる。
まとめ
DAOKO 2nd ALBUM「THANK YOU BLUE」のレビューと各曲の感想でした。
シングル曲が半分以上を締めるベストアルバムのようなオリジナルアルバムです。
ベストとして見るならボリューム満点の大満足の1枚でしょう。
オリジナルアルバムとして見るなら選曲、曲順にちょっと不満あり。
不満は曲順なのでやっぱりアルバムとしては素晴らしいと思います。
メジャーデビューしてからのDAOKOのこれまでを一気に聞くことができるアルバムです。 DAOKOというアーティストが気になっている方は買って損のないアルバムでしょう。