【レビュー】amazarashi「地方都市のメメント・モリ」は変化と喪失のアルバム

amazarashi 地方都市のメメント・モリ

邦楽ロック案内人・アキラ(@akirarockj)です。

2017年12月13日リリースされたamazarashiのアルバム「地方都市のメメント・モリ」のレビューになります。

前作「世界収束二一一六」から約1年10ヶ月ぶりのフルアルバム。

amazarashiの変化と喪失が表裏一体になったようなアルバムでした。

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amazarashi「地方都市のメメント・モリ」

地方都市のメメント・モリ(初回生産限定盤A)(DVD付)

【収録曲】

  1. ワードプロセッサー
  2. 空洞空洞
  3. フィロソフィー
  4. 水槽
  5. 空に歌えば
  6. ハルキオンザロード
  7. 悲しみ一つも残さないで
  8. バケモノ
  9. リタ
  10. たられば
  11. 命にふさわしい
  12. ぼくら対せかい

シングル曲『命にふさわしい』『空に歌えば』、シングル『空に歌えば』のカップリング曲『たられば』、先行配信リリースさらた『フィロソフィー』を含む全12曲入りのフルアルバム。

直近のリリース『空に歌えば』『フィロソフィー』を聞くとこれまでのamazarashiに比べて良くも悪くも万人受けをするようなメロディーになってきたと感じていました。

その延長でリリースされたフルアルバム「地方都市のメメント・モリ」

最初聞いた時はこれまでの作品に比べるとトゲのようなものが取れて丸みがでた曲が多かった印象でした。

特にメロディーはより一般受けするような聞きやすいメロディー、明るいメロディーになっていると思います。

歌詞も従来のような直接的な「死」や「絶望」を想起させる表現は少なくなり、全体的にオブラートに包んだような表現が多かった。

ただ、歌詞の根底になるamazarashiが伝えたいこと、歌いたいことは変わっていないので、amazarashiの曲や歌詞の幅が広がったアルバムになっていると言えるでしょう。

従来のamazarashiの暗くジメッとしたメロディーや直接的でハンマーで殴りつけてくるような歌詞が好きな人にとっては物足りなく感じたり、amazarashiは変わったなと感じるかもしれないですね。

表面的にわかりやすいところは大きな変化が見受けられ、従来のamazrashiから喪失した部分もあると思いますが、根底は変わっていないので、amazarashiの歌詞の世界観や秋田ひろむの魂の歌声に惚れている人は満足できるアルバムです。

各曲ごとの感想も簡単にだがまとめておきます。

視聴もできるのでちょっとずつだが気になる曲があったら聞いてみてください。

ワードプロセッサー

ワードプロセッサー
amazarashi
2017/12/13 ¥250

アルバムの開幕を告げるポエトリーリーディング中心の曲。
曲の最後だけメロディーに乗せて歌っていますね。その部分の歌詞が胸にグッときます。

ああ、これはすごいアルバムが始まる。そう感じさせてくれる曲。

空洞空洞

空洞空洞
amazarashi
2017/12/13 ¥250

疾走感のあるロックナンバー。歌詞の鋭さもすごいし、メロディーも暗めでこれまでのamazarashiファンはほぼ100%気に入る曲。
『空に歌えば』とかでamazarashiが好きになった人には怖い曲に聞こえるかもしれないですね。

すごくいい曲でずっとリピートしています。

フィロソフィー

ダイドーブレンドTVCMタイアップ曲。CMでもよく流れていましたね。
Aメロ、Bメロはちょっと不穏な雰囲気を感じるメロディーだけどサビは明るく、聞きやすい仕上がりです。

水槽

水槽
amazarashi
2017/12/13 ¥250

『水槽』もポエトリーリーディングの曲。
アルバムタイトル「地方都市のメメント・モリ」を歌っています。

メメント・モリは「必ず死ぬ事を忘れるな」「死を記憶せよ」などと訳されます。

アルバムタイトルをそのまま読めば地方都市が死にゆくということ。

何を持って”都市の死”とするかだが、秋田ひろむの考える都市の死がこの曲では表現されています。

空に歌えば

TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングに起用されたタイアップ曲。

夕方17時台の子供向け少年アニメということで、amazarashi史上最もポップでロックな一般向けナンバーになっています。

書こうと思えばこういう曲もかけるんだって思いましたね(笑)

アルバム「地方都市のメメント・モリ」はポエトリーリーディングの曲を挟みながらもここまでノリのいいロックナンバーが続いて、やはりこれまでのアルバムとはちょっと違う出来栄えだなと感じました。

ハルキオンザロード

ハルキオンザロード
amazarashi
2017/12/13 ¥250

ここからがアルバム後半戦。
前半のノリのいいロックナンバーから一転してゆったりとした落ち着いたメロディーの曲が続きます。

amazarashiの曲は?って聞かれて想像するようなメロディーの曲。

最初にタイトルを見たときに村上春樹とかと関係あるのかと思ったけど、全然関係なかった。

悲しみ一つも残さないで

悲しみ一つも残さないで
amazarashi
2017/12/13 ¥250

優しいメロディーと秋田ひろむの語りかけてくるような歌い方とサビの盛り上がりが胸にグッとくるバラード。
歌詞をじっくりと噛み締めたい曲。

バンプのアルバムのバラード曲とかでありそうですね。バンプファンでamazarashi好きな人はきっと気に入ってると思います。

バケモノ

バケモノ
amazarashi
2017/12/13 ¥250

後半の楽曲の中ではノリのいい部類の曲。サビの外したメロディーが耳に残る。

リタ

リタ
amazarashi
2017/12/13 ¥250

You & Iをベースに他者との関わりを歌った曲。
メロディー、歌詞の奥行きが素晴らしい。

ただ、やっぱり思うのはどこかメロディーがバンプっぽい。

これまで陰のamazarashi、陽のBUMP OF CHICKEN、みたいなイメージがあったけど、「地方都市のメメント・モリ」はこれまでのamazarashiに比べて明るい曲が多いせいかバンプの楽曲との接近を感じます。

これは今までamazarashiもバンプも聞いていて初めて感じる感覚。

売れ線の曲、一般向けの曲を作っているといえばそれまでかもしれないけど、今回のアルバムは明らかにメロディーはこれまでのアルバムとは一線を画しています。

個人的には聞きやすくていいと思うし、多くの人がamazarashiを好きになるきっかけになればこれ以上の喜びはないです。

たられば

シングル「空に歌えば」のカップリングで収録されていた曲。
タイトルの通り「〜だったら」「〜してれば」などの”たら”・”れば”について歌った曲。

歌詞の最後の問いかけが胸に刺さる曲。

命にふさわしい

2017年に大ヒットしたゲーム「NieR:Automata」にインスパイアされて制作された楽曲。

歌詞の雰囲気、曲調の雰囲気で言えばこれまで培ってきたamazarashiの代名詞とも言える曲なのだが、このような暗くてジメッとした曲が今回のアルバムでは少ないので逆にちょっと浮いてしまっていますね。

もちろん楽曲自体は素晴らしいです。

ぼくら対せかい

ぼくら対せかい
amazarashi
2017/12/13 ¥250

AメロがポエトリーリーディングでBメロ、サビは歌の曲。1曲目『ワードプロセッサー』、4曲目『水槽』と違い約6分と倍の長さのがあります。

歌詞の内容はいわゆるセカイ系のような内容で聞く人によっては厨二くさいと感じるかもしれないが、アルバムの中で一番好きな曲でした。

歌詞がやっぱり好き。

amazarashiの切れ味鋭い歌詞が炸裂しています。

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まとめ

2017年12月13日リリースされたamazarashiのアルバム「地方都市のメメント・モリ」の感想でした。

全体的にこれまでのamazarashiよりも一般向けなメロディーで良く言えば聞きやすくて万人受けしそう、悪く言えばこれまでのamazarashiに求めるようなちょっと暗くてジメッとした胸にへばりつくようなメロディーが少なかった印象です。

明るいメロディーが増えたせいで今までは個人的に完全に線引きされていたBUMP OF CHICKENとamazarashiの境界線が少しだけぼやけました。

歌詞についてもこれまでよく見受けられた直接的なマイナスイメージの言葉の選択が少なかったですね。

これも良く言えば聞きやすくなったと言えるでしょう。

歌詞については歌っている内容がこれまでと180度違ったことを歌っていたらマイナス評価ですが、言葉の切れ味や歌詞の内容はこれまでのamazarashiに求めるものが表現されているのでとても満足しています。

「地方都市のメメント・モリ」は1回聞いて表面的に見れば売れ線になったなと評価をする人が多そうですが、歌詞をじっくり読めばやっぱりamazarashiにしか奏でることのできない曲だとすぐにわかるでしょう。

amazarashiに歌詞や秋田ひろむの歌に惚れ込んでいる人はきっと満足できるアルバムです。

個人的にはとてもいいアルバムでした!

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